プロジェクト概要

800年前の色彩が現代に甦る


総本山 醍醐寺 所蔵「絹本著色五大尊像 不動明王像」[1955年 国宝指定]

絹本著色(けんぽんちょしょく・絹地に描かれた絵画)の五大尊像は、不動明王(ふどうみょうおう)、降三世明王(こうざんぜみょうおう)、軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)、大威徳明王(だいいとくみょうおう)、金剛夜叉明王(こんごうやしゃみょうおう)の五大明王からなり、5つの明王を一組として、真言密教で行われる修法(しゅほう)に用いられます。特に、鎌倉時代にさかのぼる5幅そろった五大尊像で現存しているものは、教王護国寺(東寺)本、来振寺本、醍醐寺本の3本のみで、いずれも国宝として大切に守られてきました。

今回、復元模写された醍醐寺本の不動明王像は、雄大な画面に動勢のある力強い憤怒相を描いた名品として知られ、今からおよそ800年前の鎌倉時代初期に描かれたものとされています。不動明王は多くの明王の中でも中心的な存在で、右手に剣、左手に縄を持ち、迦楼羅焔(かるらえん・迦楼羅の形をした炎)を背負った姿が一般的です。岩座の上に座り、「一切の人々を救うまではここを動かじ」と決意し、両脇に従えている白い体の矜羯羅童子(こんがらどうじ)と、赤い体の制吒迦童子(せいたかどうじ)と共に衆生を導きます。日本では「お不動さん」と呼ばれ親しまれてきた不動明王像には、家内安全や戦勝、災いを祓い福を招くご利益があるとされています。

プロジェクトの目的

1.復元技術の継承 | -技術を継承する人材育成-
革新的な技術の進歩は、私たちにかつてない利益と利便性をもたらしました。しかし、それにより、古来の伝統技術が失われつつあることもまた事実です。復元の現場では、職人の高齢化などにより、技術者の後継者不足がいま大きな課題となっています。産学寺連携プロジェクトの目的は、技術を継承する人材を育成すること。特に、絵画の分野において「模写」という手法は、文化財の保存継承に欠かすことのできない技術です。醍醐寺は、「生かされてこそ文化財」の理念のもと、成安造形大学の復元模写授業と、復元模写作品制作のために、国宝であり、信仰上においても重要な意味を持つ「絹本著色五大尊像」を無償提供されました。

2.醍醐寺の寺宝継承 | -寺宝を伝承するシステムづくり-
歴代の座主様のご尽力により、奇跡的に継承されてきた醍醐寺の寺宝は、国宝69419点、重要文化財6522点、その他未指定も含めると、およそ15万点におよびます。産学寺連携プロジェクトで復元された五大尊像は、株式会社 廣済堂によって特殊印刷され、掛軸などの商品となり広く販売されます。商品の売り上げの一部は醍醐寺に寄付され、寺宝の保存継承のために役立てられます。本プロジェクトのもう一つの目的は、寺宝継承のシステムづくり。これまで大切に守られてきた醍醐寺の寺宝の数々を、後世に伝えていきたいのです。

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